今年も年末調整の季節が近づいてきました。
「毎年、会社から渡された書類をなんとなく提出している」
「子どもがアルバイトを始めたけれど、扶養はどうなるの?」
「大学生の子どもの国民年金を親が払っているけれど、控除できる?」
そんな疑問はありませんか?
実は、2026年は所得税の制度が変わり、ひとり親家庭でも確認しておきたいポイントが増えています。
また、制度改正とは別に、以前から利用できるのに申告を忘れがちな控除もあります。
この記事では、2026年の年末調整で確認したい7つのポイントを、具体例を交えながらわかりやすく解説します。
※この記事は主に会社員・パート・公務員など、年末調整を受ける方向けです。給与年収の目安は、給与以外の所得がない場合を前提としています。
1.ひとり親控除|子どもが成人していても対象になる?
ひとり親控除は、一定の条件を満たすひとり親が受けられる所得控除です。
2026年の控除額は35万円。
税金が35万円戻るという意味ではなく、税金を計算する際の所得から35万円を差し引く制度です。
ひとり親控除の主な条件
- 本人の合計所得金額が500万円以下
- 生計を一にする子どもがいる
- 事実婚に該当する相手がいない
- 対象となる子どもの総所得金額等が62万円以下
- その子どもが、ほかの人の扶養親族などになっていない
離婚・死別した方だけでなく、未婚で子どもを育てている方も対象になります。
そして、覚えておいていただきたいのが、ひとり親控除には子どもの年齢制限がないということです。
例えば、子どもが25歳でも、生計を一にしていて所得などの条件を満たせば、ひとり親控除の対象になる場合があります。
子どもがアルバイトをしている場合
2026年は、対象となる子どもの所得要件が58万円以下から62万円以下に引き上げられました。
給与収入だけなら、年収136万円以下が目安です。
子どもの年齢だけで判断せず、所得も確認しましょう。
2.扶養控除|子どものアルバイト収入の基準が変わります
2026年から、所得税の扶養控除の対象となる親族の所得要件が引き上げられます。
2025年と2026年の比較
| 年分 | 所得要件 | 給与年収の目安 |
| 2025年 | 58万円以下 | 123万円以下 |
| 2026年 | 62万円以下 | 136万円以下 |
例えば、17歳のお子さんのアルバイト年収が130万円だった場合。
2025年は親の扶養控除の対象外でしたが、2026年はほかの条件を満たせば対象になります。
扶養控除は子どもの年齢によって金額が違います
| 子どもの年齢 | 所得税の扶養控除額 |
| 16歳未満 | 対象外 |
| 16〜18歳 | 38万円 |
| 19〜22歳 | 63万円 |
| 23歳以上 | 原則38万円 |
※年齢は原則としてその年の12月31日時点で判定します。70歳以上は別の区分があります。
ここで注意したいのが、ひとり親控除と扶養控除は別の制度だということです。
例えば、10歳のお子さんは所得税の扶養控除の対象にはなりませんが、ひとり親控除の子どもの要件を満たすことはできます。
3.大学生年代の子ども|136万円と159万円の違いに注意!
19歳以上23歳未満のお子さんがいる方は、「特定親族特別控除」も確認しましょう。
この制度は2025年に創設され、2026年は所得要件の見直しによって、給与年収の目安が変わっています。
子どもの給与年収と親が受けられる控除
| 子どもの給与年収 | 親が受けられる所得控除 |
| 136万円以下 | 特定扶養控除63万円 |
| 136万円超〜159万円以下 | 特定親族特別控除63万円 |
| 159万円超〜197万円以下 | 特定親族特別控除が段階的に減少 |
| 197万円超 | 原則対象外 |
※ほかの要件も満たす必要があります。
ひとり親家庭では、ここが重要!
例えば、大学生のお子さんのアルバイト年収が150万円の場合。
特定親族特別控除:63万円を受けられる可能性があります。
しかし、その子どもを要件とするひとり親控除は受けられません。
なぜなら、ひとり親控除の対象となる子どもの所得要件を超えているからです。
ほかに要件を満たす子どもがいなければ、ひとり親控除35万円も受けられなくなります。
つまり、「大学生の子どもは159万円まで働いても大丈夫」と一括りにはできないのです。
なお、ここで説明した金額は所得税の基準です。
健康保険の扶養や、お子さん自身の社会保険加入については別の基準があります。
税金の扶養と健康保険の扶養は、分けて考えましょう。
4.2026年から子育て世帯の生命保険料控除が拡充!
2026年から、23歳未満の扶養親族がいる方を対象に、一般生命保険料控除の特例が始まります。
何が変わるの?
2012年1月1日以降に契約した一般生命保険について、所得税の控除上限が引き上げられます。
| 区分 | 一般生命保険料控除の上限 |
| 通常 | 4万円 |
| 2026年・2027年の特例 | 6万円 |
これまでより、所得税の計算上、最大2万円多く所得から差し引ける可能性があります。
ただし、すべての方の控除額が2万円増えるわけではありません。
注意したいポイント
- 生命保険の契約時期や種類によって計算方法が異なる
- 2011年以前の旧契約がある場合は、別途計算が必要
- 生命保険料控除全体の上限12万円は変わらない
- 所得控除が2万円増えても、税金が2万円減るわけではない
また、この特例は2026年分・2027年分の所得税に適用されます。
控除を受けるために、新たに保険に加入する必要はありません。
まずは、現在加入している保険の控除証明書を確認しましょう。
5.大学生のお子さんの国民年金保険料、親が払っていませんか?
20歳になると、大学生でも原則として国民年金への加入が必要になります。
お子さんの国民年金保険料を、親が代わりに支払っているご家庭もあるのではないでしょうか。
実は、生計を一にするお子さんの国民年金保険料を親が支払った場合、親の社会保険料控除の対象になります。
しかも、支払った保険料の全額が所得控除の対象です。
例えば、年間20万円を支払った場合
大学生のお子さんの国民年金保険料を、親が年間20万円支払ったとします。
この場合、原則として20万円を親の所得から差し引くことができます。
仮に所得税率が10%なら、所得税・復興特別所得税の負担が約2万円軽くなる計算です。
※実際の軽減額は所得やほかの控除などによって異なります。
子どもが親の扶養から外れていても大丈夫?
社会保険料控除は、税法上の扶養控除とは別の制度です。
お子さんがアルバイトをしていて扶養控除の対象外になっていても、親子が生計を一にしていて、親が国民年金保険料を支払っていれば、親の社会保険料控除の対象になる場合があります。
また、進学のために別居していても、生計を一にしていれば対象になる場合があります。
年末調整で忘れずに申告を!
年末調整では、日本年金機構が発行する「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」などを用意しましょう。
なお、学生納付特例を利用して保険料の納付を猶予されているだけの場合は、まだ控除の対象にはなりません。
お子さんの国民年金保険料を親が支払っている方は、申告漏れがないか、ぜひ確認してくださいね。
6.iDeCoの掛金も忘れずに記入して!
iDeCo(個人型確定拠出年金)を利用している方は、掛金の申告も忘れずに確認しましょう。
iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」の対象です。
その年に支払った掛金の全額を所得から差し引くことができます。
例えば、毎月1万円を積み立てている場合、年間の掛金は12万円。
その12万円が所得控除の対象となります。
年末調整で必要なもの
個人払込の場合は、原則として「小規模企業共済等掛金払込証明書」などを用意して申告します。
給与天引きで納付している場合は、通常、勤務先で掛金が把握されているため、別途申告する必要はありません。
ただし、iDeCoは原則60歳まで引き出せない老後資金の制度です。
所得控除があるからといって、教育費や生活費を圧迫するほど掛金を増やすことはおすすめしません。
教育費、生活費、老後資金のバランスを考えて利用しましょう。
7.基礎控除・給与所得控除も引き上げられます
2026年は、所得税の基礎控除も引き上げられます。
基礎控除とは、所得税を計算する際に、所得から差し引くことができる控除です。
2025年と2026年の比較
| 本人の合計所得金額 | 2025年 | 2026年 |
| 132万円以下 | 95万円 | 104万円 |
| 132万円超〜336万円以下 | 88万円 | 104万円 |
| 336万円超〜489万円以下 | 68万円 | 104万円 |
| 489万円超〜655万円以下 | 63万円 | 67万円 |
| 655万円超〜2,350万円以下 | 58万円 | 62万円 |
※合計所得金額が2,350万円を超える場合は、別の控除額になります。
また、給与所得控除の最低保障額も65万円から74万円に引き上げられます。
所得に応じて、所得税の負担が軽くなる可能性があります。
年末調整の申告書も確認しましょう
基礎控除の適用を受けるためには、勤務先へ基礎控除申告書を提出する必要があります。
2026年は制度改正に対応した書類が使われますので、勤務先から配布される申告書を確認し、記入漏れや提出漏れがないようにしましょう。
よくある質問
Q.子どもが18歳を超えたら、ひとり親控除は受けられませんか?
いいえ。ひとり親控除には子どもの年齢制限はありません。
成人していても、生計を一にしていることや所得などの要件を満たせば対象になります。
児童扶養手当の年齢要件とは異なります。
Q.大学進学で子どもが別居していても対象になりますか?
別居していても、生活費や学費を継続して負担するなど、生計を一にしていると認められる場合は、対象になることがあります。
住所が違うだけで、必ず対象外になるわけではありません。
Q.子どものアルバイト年収が150万円なら、扶養から完全に外れますか?
税金の制度によって異なります。
19〜22歳のお子さんであれば、特定親族特別控除の対象となる可能性があります。
一方、その子を要件とするひとり親控除は受けられません。
健康保険の扶養についても、別途確認が必要です。
Q.子どもの国民年金保険料を親が払っている場合、子どもも控除できますか?
いいえ。同じ保険料を親子で二重に控除することはできません。
親が実際に支払った場合は、要件を満たせば親の社会保険料控除の対象になります。
Q.子どものiDeCoの掛金を親が払った場合も控除できますか?
いいえ。iDeCoの掛金は、加入者本人の所得控除です。
子どもの国民年金保険料を親が支払った場合とは取扱いが異なります。
Q.年末調整で控除の申告を忘れてしまったら?
勤務先で年末調整を再計算できる場合や、確定申告で控除を受けられる場合があります。
申告漏れに気づいたら、勤務先の担当部署や税務署に確認しましょう。
【保存版】年末調整チェックリスト
年末調整の書類を提出する前に、ぜひ確認してみてください。
- ひとり親控除の申告漏れはない?
- お子さんのアルバイト収入の見込みは正しい?
- 扶養控除・特定親族特別控除の対象になる?
- 子育て世帯の生命保険料控除の特例を確認した?
- 大学生のお子さんの国民年金保険料を親が支払っていない?
- iDeCoの掛金を申告している?
- 生命保険料・国民年金・iDeCoの控除証明書はそろっている?
- 基礎控除申告書などの記入漏れはない?
まとめ
2026年は、ひとり親家庭にとっても確認しておきたい税制改正があります。
特に、お子さんのアルバイト収入によって、扶養控除だけでなく、ひとり親控除にも影響が出ることには注意が必要です。
また、お子さんの国民年金保険料やiDeCoの掛金など、以前からある控除も忘れずに確認しましょう。
年末調整は、1年間の所得税を精算する大切な機会です。
生活費、教育費、そして将来のためのお金。
限られた収入を大切に使うためにも、利用できる制度を正しく理解しておきたいですね。
「わが家の場合はどうなるの?」と迷ったときは、条件を一つずつ整理して確認してみましょう。
参考資料・公式サイト
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」
https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/index/shikata.htm - 国税庁「令和8年度 源泉所得税の改正のあらまし」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/2026kaisei.pdf - 国税庁「ひとり親控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1171.htm - 国税庁「扶養控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm - 国税庁「社会保険料控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1130.htm - 国税庁「小規模企業共済等掛金控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1135.htm
※本記事は2026年10月時点の制度をもとに、主に2026年分の所得税について解説しています。住民税や健康保険の扶養には異なる基準があります。また、個別の所得状況などによって取扱いが異なるため、具体的な税務判断は税務署や税理士にご確認ください。
メルマガを配信しています。
よろしければ登録ください!
↓


